Project Story

プロジェクトストーリー

肌着商品部 バイヤー 大田垣 秀和 肌着商品部 部長 沖原 好彦 肌着商品部 マーチャンダイザー 林 利重

分析とアイデアで攻めろ!
西松屋の『大ヒット肌着』誕生秘話。

肌着商品部 利益向上プロジェクト

西松屋における主力商品群のひとつである子供用肌着。
全国1000店舗以上に並ぶ肌着の商品企画から製造、
店舗展開までを担うのが肌着商品部だ。
今回のプロジェクトでは、いかに品質を落とすことなく
生産コストを抑えることができるかが最大の課題となった。
業界でも型破りな発想でプロジェクトを
成功へと導いた3人に話を聞いた。

メンバー

  • 肌着商品部 バイヤー大田垣 秀和

  • 肌着商品部 部長沖原 好彦

  • 肌着商品部 マーチャンダイザー林 利重

Story.1

これまでにない“無地の4枚組肌着”は売れるのか。

沖原:肌着の売上・利益の向上を目指す今回のプロジェクトですが、安かろう悪かろうでは絶対にいけない。単に売上を上げるのではなく、お客様の確かな満足を得られる商品にしていかなければならない。そこをしっかり議論しながらプロジェクトを進めていきました。

大田垣:西松屋はお客様に商品を安く提供すべきだと考えています。肌着に関しても、1枚あたりをお客様がいかに安く買えるかを目指している。そうした中で利益向上という目標を達成するには、販売枚数を増やすことと、生産コストを下げることが必要です。

ではそのためにどうしたらいいかを考えた時、「1パッケージあたりの枚数を増やす」・「肌着を無地にする」というふたつのアイデアが浮かびました。
まず枚数についてですが、1パックあたりの枚数を増やせばおのずと値段は上がってしまいますが、これまでと同じ数のお客様が買ってくだされば売上は上がると考えました。無地にしたのは、プリントにかかる人件費やインク代を削減する目的です。
さらに輸入に関税のかからないバングラデシュ、ミャンマー、カンボジア、インドなどの国々で私たちの求める品質の製品を製造できるか検証していきました。

林:バイヤーである大田垣のアイデアに基づき、どの商品をどの国で作ればコストを抑えられるのか。もちろん品質を維持することは大前提です。ですから産地の品質やコストを確認しながら仕入先の選定をしていきました。

沖原:商品企画にあたっては市場調査も大切。私たちは競争他社の売場を頻繁に見に行きます。そこでメインエリアの陳列や、複数の会社で展開している製品の色などを見ると、いま何が売れているかが分かる。そうした調査・情報収集をしながら製品をつくっていきました。
もちろん流行ばかりを追いかけるのではなく、自社ブランド「エルフィンドールクラシック」に代表されるような、ベーシックで多くの方に長年使っていただける商品開発を心がけています。

― お客様の反応はいかがでしたか?

大田垣:まずは3枚組を展開してみたところ、肌着全体の10%しか陳列しなかったのにもかかわらず売上高の30%を占めるほど売れて、徐々に従来の2枚組が下火になっていったんです。そこからは思いきって一気に3枚組に切り替えていきました。
だけど4枚組にする時はさすがに不安でしたね。お客様は本当に4枚も必要なのかなあと。そんな時ちょうど当社のシステムがアップデートして、店舗レシートのデータを確認・分析できるようになったんです。そこで1人のお客様が一度に何枚の肌着を購入しているか調べてみると、1度の買い物で4枚以上購入する方が25%もいらっしゃった。4分の1のお客様が1度に4枚以上買っているという意外な結果で、これはいける!と。

沖原:手順として大事なのはこうした試売ですね。確認しながら徐々に割合を増やしていくんです。
西松屋は全国に1000店舗以上を構えて商売をさせていただいています。ですから売れるかどうか分からない商品を全店分生産してしまうというギャンブルはできない。商品開発をしていく上では、しっかりとデータに基づいたアプローチが大事だと考えています。

林:柄物はお客様の好みが分かれますよね。ですから4枚組商品を展開するにあたって無地にしたというのは、コストの面だけでなく、お客様の好き嫌いに売上が左右されるというリスクを回避する意味もありました。

Story.2

トレードオフはしても、譲れないものは守る。

大田垣:今回のプロジェクトでは、不要な機能を捨てる“トレードオフ”を取り入れています。そのひとつがプリントをなくすことでのコスト削減です。

林:ベビー肌着はこれまで市場でもプリント入りの商品が圧倒的に多かった。ですからいきなり白無地ではなく、色無地を入れてバランスを見ながら商品展開をしていきました。トレードオフでプリントはなくしましたが、色合いで可愛らしさを表現しようと試みました。

大田垣:商品企画にあたっては何を捨てて何を取るかが重要になってきますが、今回捨てなかったことは綿100%であることです。ポリエステル混にすれば価格は簡単に下げられます。しかし私が担当している1〜3歳のベビー向け肌着にはやはり肌へのやさしさが大切ですし、お客様もそれを求めています。だから絶対に綿100%でつくりたかった。かといってコストは抑えなくてはならないので、その部分は特にマーチャンダイザーの林が苦心してくれました。

沖原:商品企画に求められるのはコストや売価は下げて、顧客満足度は高めること。バリューとプライスの両立がとても大切で、そのさじ加減が難しくもあり面白くもある。お客様が手に取り、お子様に着せて、「よかったなあ」と思っていただける商品でなければつくってはいけないと思っています。

大田垣:今回のプロジェクトの成果として、メイン商材である半袖シャツの売上が約1.3倍増。売れる期間の短い長袖やランニングの売上も伸びています。

Story.3

日本中の子供たちへ肌着を届けているという実感。

― 商品部の仕事の面白さとは?

沖原:売り上げが期待できる仕様やデータに基づいて商品化したとしても、やはり実際に商品を展開する時はドキドキするものです。怖くもあり、楽しみでもありますね。林は今回の4枚組無地の肌着の販売をスタートした当初、ずっとデータを見守っていましたよ。
自分たちが手がけた商品をお客様が手に取り、その結果がすぐに見える。そこは商品部としての楽しさであり、喜びですね。

林:何がいくつ売れたかがリアルタイムで分かるということは、お客様の生の声が私たちにすぐに届くということ。これは非常にありがたいですし、今後の商品企画に生かしていきたいと思っています。

大田垣:西松屋は子ども用品における日本最大級の企業です。その中でも肌着は皆が絶対に必要とするものですし、販売量も競合他社に比べて圧倒的に多い。つまりそれだけ多くのお客様に私が担当した肌着を手に取っていただいているということ。そう考えるとすごいことをやらせていただいているなと思うんです。売上やお客様からの評価が年々高まっていることも、非常にやりがいに感じています。

林:私は半導体を扱う企業からの転職で当社に中途入社したのですが、前職で扱っていた半導体というのは「部品」ですからお客様の顔は見えません。その点、今の仕事は何がお客様に気に入られたかすぐに分かるところにとても醍醐味を感じます。また製品の最初から最後まで手掛けられることも、大きなやりがいですね。

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